
2025.7/6
僕が美しいと感じるものは全て自然の中にあるものです たとえそれが人が表現したものであってもその本質がこの地球や宇宙のどこかに 既に存在している、または存在していた色、形、質感、触感、音であり、表現した人がそれを 見つけて再現したと感じられるものに限られています
また、壊れたものにも魅了されますが、それは人が目的を持って作ったものが 『壊れる』ことで目的を失い、束縛を解かれ、ただの道具ではない『何か』になれるからです
日本では全ての物には神が宿るという八百万の神の考えが古くからあり、特有の宗教である 神道のベースであるのと同じく日本的な美の根元にもあると思うのですが それは総合芸術である茶の湯の世界にも感じられ、道具に対するこだわり、 茶花が空間を支配する力、釜の湯の沸く音の表現など、どれにも独特の美意識があり 茶室の空間が好きで親しんでおります
音楽も昔から好きで制作中も流していますが自分の好みの基準はその曲を構成する 旋律やリズムよりも楽器の音色や歌い手の声の質感、詞も意味よりは言葉の合わせ方 による残響や余韻みたいなものだったりします
音 と言っていますがこの 音 とは気配だったり目に見えないもの、物理的には存在 していないけれど確かに在るもの のことで、一般的な 音 とは違うものです 何か物を作るときはこの音を自然の中に見つけてそれを再現する、奏でるものを作ろうとします もちろん道具としての用途に落とし込みますからそのイメージはありますが それよりも無意識のうちに僕の手でできたものを誰かが道具として用途を見つけて 見立ててくれたら嬉しいです
人工物に囲まれた環境の中暮らしていると人は忘れてしまいがちですが 自然は人の道具では無く、人が自然の中の小さな存在であり、 よく自然破壊や環境汚染などが言われてますがその自然とは 人にとって都合の良い環境という狭義のもので、たとえ人が滅んでも何事もなく 在り続けるはずです
そしてそのとき人の作ったものがそこにあったなら 目的を失なったそれはただそこに在るだけの僕が最も 美しいと思える景色なのだろうと思います
(上海での展示会への寄稿)

2023.10/23
最近は......
なるべくならサブスクリプションで音楽を聞きたく無くて
レコードとCDを買いまくってます。
データを圧縮するために捨てられる音は 音として聞こえてなくても
何かしらどこかで感じているし その何かしらがとても大切に思えるからです。
何かをつくるときも澄みきった水からでは無く
もっと深く泥からすくい上げ泥まみれになりながら作りたいと思います。
2023.8/6

アトリエは住宅地の中に取り残された山の裾野 斜面のすぐ下にあります
作る時は中腰ばかりになるから時折背中を伸ばしに外に出て背伸びしながらその斜面を見上げるたびに見える空は
海の底から水面を見上げてる気になります
そして中に戻ると空は見えなくなるから
そこは深い海の底
深い海
高い空

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